ヘーベルハウス渋谷デザインオフィス
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SETA model コンセプト
TOP CONCEPT PLAN PHOTO INTERIOR MAP
計画にあたって
チームデザイニング  3人寄らば文殊の知恵

SETA MODELは「チームデザイニング」という手法を導入した初めての ケースです。
「たかだか二人が納得できないようなものが、お客様の共感を得られるはずはない」 とか「誰の案でもいい」という建築家の言葉にもあるように、皆が納得するものを作 りたいと考えました。当初、設計者3人で考えるということ自体に、まわりは不安 を感じていたようです。今までの考え方では、誰か一人の意見に引きずられたり、 誰かが我慢したり、といったネガティブな発想に結びついてしまうからです。
1+1+1=3にならずに1になってしまうのではないか。そんな不安があったようです。 今回の計画にあたり、一つのテーマを30分という時間で区切り、誰かの発言に対 してまずは否定的なことは言わないというブレーンストーミングの手法を忠実に守 り、モデルハウスとは何なのかというテーマから実際に始めて見ました。 実際にやってみると、今まで自分で考えがまとまらずもやもやしていたことが、頭 の中でぐるぐる回転をはじめ、話がどんどん展開していくスピード感を味わうこと が出来ました。
今回の計画を通じて、メーカーで設計をしている私たちのようなインハウスデザイ ナーの向かうべき姿も見え始めたような気がしています。1+1+1→3の二乗=9 くらいまでいけたのではないかと思っています。


モデルハウスとは何か
今回、渋谷デザインオフィスがSETA MODELの計画をはじめる際に、いきなり ゾーニングや形を考えることはせずに、私たちにとってモデルハウスとは一体何なのか、お客様にとってモデルハウスとは一体何なのか、モデルハウスの役割はなんなのかとい うところまで立ち返って考えてみました。話が長くなってしまうので、詳細は別の機会 にゆずりますが、とても重要な話だと思っています。


SETA MODELでイメージしたお客さま像
世界的にハイブリッド車が売れています。
世界で環境問題がクローズアップされている中、地球の環境のことを真剣に考えているということが ある種のステータスになっているような気がしています。 ステータスという言葉には違和感を憶える方もいると思いますが、スローライフとかLOHAS(Lifestyles Of Health And Sustainability)といったものの考え方に共感している人が増えているのは事実です。

ベンツやBMWに乗ることよりもプリウスに乗っていることのほうが自分の中で納得がいく選択肢であるという考えをもった人、それも社会的に地位が高いと思われるような人たちがあるボリュームで存在しているのではないかと思い ます。
事実4階建てのかなり贅沢な住宅を検討していたお客様はプリウスに乗り、かぜのとうや地中熱冷暖房といったことに高い関心を示されていました。 SETA MODELはそんなお客様をイメージしています。

ロングライフデザイン
変わらないものと変わるものを分けて考える
SETA MODELは旭化成が考えるロングライフなデザインを体験してもらうためのス ペースでもあります。
ロングライフを考えてデザインしていく場合、変わるものと変わらないものに分けて考える と何を作るべきかが見えてきます。
たとえば太陽の方向とか年間を通じた風の流れ、その敷地の置かれている環境、といったも のは変わらないとは言い切れませんが、60年というスパンで考えた場合、変わらないもの として考えたほうが、わかり易いと思います。
それと比べて、例えばそこに住む家族のライフスタイルは子供が成長するとすぐに状況が変 わってしまいます。したがって、今の家族構成などをよりどころにしてプランを作りこみす ぎたりすると60年というスパンの中では、とても使いにくいものになってしまう可能性が 高いのです。

60年という時間
ヘーベルハウスは最低でも60年住宅としての価値を保つことを基準に考えられています。
60年というのは短いようでとても長い時間ですし、長いようでいて短いような気もします。
たとえば実際に60年前というと1945年終戦の年です。終戦の年の前後に作られた建物がどんなものか有名な住宅で考えてみます。同潤会代官山アパートが1927年、コルビュジェ のサヴォア邸、ミースのバルセロナパビリオンが1929年、江戸川アパートが1934年、ライトの落水荘が1936年、コルビュジェのユニテダビタシオンが1947年、ミースのファンスワース 邸が1950年世界では近代建築の巨匠が活躍していた時代、日本では戦前に同潤会アパートが作られ、戦後丹下健三が活躍を始めるころです。60年前のものは大昔のものという気もし ますがそんなに古い気がしないといった印象もあると思います。
一番古いヘーベルハウスは約30年経っています。60年はその倍、私たちが旭化成で設計を始めて一番長い者で21年ですからその約3倍です。60年たっても考え方がしっかりした ものは残っていると思いますし、いい加減なものはとっくにだめになっているのでしょう。


システム住宅のあり方を考える
『いい家は必ずできる』
メーカー住宅では思ったような家ができない?
日本には、近所の工務店ではなく、設計事務所でもない住宅メーカーという独特のジャンルがあります。
資金計画でも、相続問題でも、住宅そのものの計画でも、何でも相談に乗ってくれるとても便利な仕組みです。実際に家を建てようと思っ たとき、とりあえず住宅展示場に足を運ぶという方は多いのではないでしょうか。大手のメーカーが作ったものだから間違いはないという イメージは持ちやすいと思います。
ところが、住宅地それも高級住宅地といわれているところでも、実際に街を歩いて見ると「これはないだろう」と思ってしまう建物が多く 建っています。こういった状況を作ってきたのは誰かのせいという問題ではなく、そこにかかわっている人たちすべての意思が作り上げた ものだとは思いますが、住宅メーカーの責任も大きいと思っています。実際に、中途半端に装飾されていたり、流行のスタイルを追いかけた 商品をどんどん開発し、購買意欲をあおっている住宅メーカーもあると思います。環境とか空間とか形というようなこととは無関係に、お 客様の言われたとおりに間取りを作り、なんとなく家が出来上がってしまうといった例もあると思います。
こういう状況を見て、メーカーの住宅の限界を感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。


へーベルハウスのコンセプトはロングライフデザイン
旭化成の考えるロングライフデザインは、高性能な住宅システムに裏づ けされたシェルターに、安心して、快適に、自由にそして長く大切に住 んでいただける住宅をデザインすることです。
へーベルハウスのようなシステム住宅が本当によい家として出来上がる ためには、二つのデザインがよくできていることが必要です。
一つはシステムとしての商品のデザイン。二つめはそれぞれ違う敷地に 違うお客様のためにする個別のデザインです。 私たちはこの二つのデザ インがうまくいったとき旭化成の考えるロングライフデザインがはじめて 実現されると考えています。 そして後者のデザイン、つまりヘーベルハ ウスのビルディングシステムを使って私たちがデザインした住宅に、すべ てのお客様が100%満足して住んでいただくことが私たちの目指している 姿です。


いい家は必ずできる
ヘーベルハウスのビルディングシステムは、ここで改めて説明するまでもなく、非常に高いレベルでデザインされています。長年、へーベルという 素材の使い方を研究し、その高いポテンシャルを最大限引き出し、耐久性、耐震性、耐火性、断熱性、遮音性といった性能を高いレベルで実現できる システムとして出来上がっています。つまり、ヘーベルハウスを建てると決めたなら半分はいい家ができているといってもよいと思います。
敷地の状況をよく知り、お客様がその家を建てることで何を実現したいのかを理解する。そこにどういった考え方で家を建てていくか、どうすれば 気持ちのよいスペースが作れるか、きれいな形が作れるか、将来どういう変化が起こりえるのか、といったことを真剣に考えていく。それをへーベル ハウスのシステムを使ってデザインしていく。そうすれば、いい家は必ずできると信じています。


言い訳のいらない気持ち良さを持った空間(変わらないもの)

SETA MODEL 1階のリビングスペース。
家の中心のウッドデッキで仕上げたオープンリビング。
気持ち良い日差しを受け、秋冬にはインドアリビング まであたたかい光が差し込む。


SETA MODEL TUBA 室内に広がるアトリウム内から外をみる。大きな開口に遠くの大きなけやきの木と空が広がる。

気持ちよい空間を考えてみた。
気持ちよさを構成する要素。
@ プライベートな領域が限定されている。
A アウトドア領域とインドア領域の中間領域がる。
  ex. 縁側、中間領域、バッファー、屋根のある屋外
B 境界があいまいである。
C 光のコントラストや風を感じられ、かつコントロールされている。
D うるおいが感じられること。
  ex. 緑、水 E 眺望の良い場所


気持ちの良さと省エネの両立(変わらないもの)
省エネを実現するために、窓を小さくして、断熱性能をあげていくことは簡単です。
ただしこれはヘーベルハウスが追求している気持ちよい温熱環境ではありません。
そらから や かぜのとうに代表されるように、ヘーベルハウスは自然の恵みを生かした人に心地よく、地球にやさしい家づくり を目指しています。
『エクセルギーと環境の理論』の著者である宿谷先生も「省エネ ルギーと快適さは相反するものではない。省エネルギーを実行することは我慢することではない」とおっしゃっています。
(巻末の資料編参照)
街かどヘーベルハウス祐天寺「おたがいさまハウス」

形から省エネをデザインする
光や風といった自然の恵みを最大限取り入れた快適さを持った空間を実現するため には大きな開口部が必要ですがTUBA、庇、ガラス、を組み合わせることで、開 口面(ガラス面)が大きくても年間冷暖房負荷は小さくすることが出来ます。

SETA MODELの場合  年間暖冷房負荷は335.88MJ/u・年で 次世代省エネの基準による年間暖冷房負荷は460MJ/u・年を大きく下回っいます。

この数字からもSETA MODELのエネルギー効率のよさがはっきりしています。
街かどヘーベルハウス祐天寺「おたがいさまハウス」

街かどヘーベルハウス祐天寺「おたがいさまハウス」
SETA MODELの場合冷暖房は全て地中熱冷暖房システムにより賄っており、いわゆる電気式のヒートポンプやガスによる暖房 は採用していません。したがって、ヒートアイランドの原因となる熱の排出はなく、エネルギー消費もコストにして年間40%をカット できます。上記に在るように年間冷暖房負荷が非常に小さいことと考え合わせると、さらにエネルギー消費は小さくなります。
また、地中熱冷暖房に用いる電気エネルギーの一部は屋根に設けた太陽光発電でまかないます。消費したエネルギーは、3階に付けた エネルギーモニターで確認できます。

SETA MODELでは床暖房だけでなく、冷暖房も輻射式のルーバーを採用しています。(商品化準備中なので実際に使う場 合は特注対応となります。)このルーバーは輻射式なので不快な冷風を起こさず冷房をすることが出来ます。またパネル部分に強 制的に結露を起こさせることで湿度を下げる効果ももっています。
窓を開けて通風を取った状態でも冷房の効果がある点も輻射式冷房の大きなメリットです。室内外に温湿度計を設置し、室内の湿度分布を計測することで、これらの効果測定を行っているところです。


奥の階段の手前にある輻射式の冷暖房ルーバーパネル。
吹抜け越しに部屋の奥まで光が入っている。(軒の出が大きいので夏の暑い光は室内に入り込まない。)


形を考える(変わらないもの)
形には力がある
ヘーベルハウスがロングライフな形であるためには、シンプル&マッシブで あることが必要ですが、シンプルであることとたいくつなことは別の事だと 考えています。
SETA MODELはFREXの重量鉄骨の矩体とヘーベルを活かした躍 動感溢れる姿を表現しています。具体的には”TUBA”と呼ぶ筒状エレメント で大きな開口部を表現し、側面のヘーベルの量塊感とコントラストを見せてい ます。またその中はアトリウムと呼ぶ外部から見た形がそのまま表現されてい る大きな2層吹き抜けの空間が表現されPAO等の吹き抜けとはまったく質の 違うものになっています。

PROCESS
1.八事展示場と平沼橋展示場のMH
この2つのMHについては直接的に影響を受けました。
まず八事展示場については、その特徴的な外観と、「FREX」の躯体を使った大空間・大開口に惹かれました。
ラーメン構造ならではの空間づくり、また外観の構成は大いに参考になりました。
また平沼橋MHについては、1階のリビング・ダイニングと一体となった中庭に魅力を感じました。
適度な閉鎖感を持ちながらもタテヨコに抜けのある「気持ちのよさ」「居心地のよさ」はぜひSETA MODELでも表現したいと思いました。
2.敷地のゾーニング
計画初期の平面スケッチです。東南方向にオープンスペースをとり、そこにリビング・ダイニング・水周りを面させています。 階段のレイアウトが変わりましたが、それ以外はほとんどここから変化していません。  いくつもプランを深く考えることは、このゾーニングで進めていく事が自然に感じられた為、1つの案を突き詰めていくことに  時間と労力をかけました.
3.初期の外観スケッチ
TUBAを大きくとること、東南方向に大きく開くことをテーマに形をスタディしていきます。
4.初期の外観模型@
TUBAの大きさと南西側の2階までのボリュームバランスはどうか?
    ・・・ちょっと大きすぎ?
開口の大きさはどうか?
    ・・・開けっぴろげすぎ?
夏暑くないか?
模型が一番よくわかります。
5.初期の外観模型A
TUBAの大きさをしぼった形。
2階までのボリュームが今度は逆に大きすぎます。
2つのボリュームがぶつかるところの納まりも良くありません。
「刺さってる」感じにも違和感があります。
6.オープンリビングの考え方
「気持ちよい空間」を考える中で、外部空間を内部に取り込むことは初期から考えていました。
このオープンリビングの外に躯体をまわすかどうか、奥行きと巾のバランスはどうか?
水場をどう扱うか?
床の広さとのバランスは?
形を検討しながら、外部と内部、中間  領域のバランスを検討していきます。
7.外観の検討スケッチ@
FREXという構造で新しい外観をどう表現するか、アイデアは二転三転します。
苦しんだ中で出てきたスケッチの一つ。
  「一筆書き案」です。
地面から出てきた壁が2階の屋根になり、また壁になって・・  ぐるりとまわって2階の屋根にぶつかっておわります。
面白い!と思ったのですがTUBAに壁がぶつかるところの納まりが悪く(これは最後まで苦しんだところでした)、また構造と折り合いもつかず実現しませんでした。
8.外観の検討スケッチA
シンプルな案です。
2つの筒が組み合わさっています。
ただこの立地で2階のボリュームの東側を開かないというのはどうか?が気になりました。
2階の突き出したボリュームの2階部分と構造の折り合いが悪く、またTUBAに2階のボリュームがぶつかるところの納まりも解決できていません。
9.外観検討模型@
TUBAの中にもう一つ筒を持ち込む案がでてきました。
納まりの悪いところもこれなら処理できるかもしれません。
またTUBAの大開口が受ける日射熱をかなり遮ってくれそうです。
また外部の視線をうまく遮る効果もあります。
かなり考えが前にすすみました。
10.外観の検討スケッチB
2階までのL型に開いたボリュームとTUBAを組み合わせた形。
ほぼこれで「解けた!」というところです。
あとはオープンリビングの外部に躯体でフレームをまわすかどうか。
11.外観検討模型A
模型をつくって形を確認していきます。
外部のフレームはちょっと背が高すぎるのでは?
TUBAの北東側の3階部分、あるいは1階部分は削ったほうがよりTUBAらしさが出るのでは?
あと一息です。
12.背面がどう見えるか
建物は正面が良ければあとはどうでもいいわけではありません。
今回はTUBAが裏からどう見えるか、という点も気をくばりました。
面をずらし、さらに1階部分を小さくすることでTUBAらしく見えるようにしています。
13.外観写真
完成した外観です。
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